夜は風が出ていたが、朝になると快晴。明るくなると同時に出発。目の前のWest Face Gullyを直登開始。 |
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ところが登り始め5分くらいで手袋を落としてしまい、回収のため振り出しに戻る。そのあいだにryoさんとTMD先生が先行する。 |
先に休んでいた二人に合流して休憩。傾斜がだんだんきつくなるので、ここでストックはザックにくくりつけてピッケルに持ち替える。他の2人は先に出発、結局その後ずっと付いていけなくなる |
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左の写真で、みなつりさんの後ろの米粒のようなのが僕。2人にどんどん離されていく。しかし、ここでがんばって追いつこうとすれば、前のホイットニー山の時のように、高山病の頭痛で余計に苦しくなるかもしれない。もうこうなったら単独行者になろう。追いかけるのはやめて、マイペースでじわじわ登ることにした。 |
傾斜はどんどん急になり、昨日登ったShastinaの標高に近づく。辺り一帯は広大なツルツルの滑り台。アイゼンの爪はよく刺さるので体の確保は大丈夫だが、物を流したら絶対に取り返せない。疲れてもザックを下ろすわけにいかないので、ますます歩みは遅くなる。でも景色はすばらしい。 |
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ryoさんとTMD先生は、ずっと先にWest Face Gullyを登り切ってShasta本峰に近づいていた。氷河のコルを歩いてからもうひと登り。Shastaの山頂が見えるともう滑落の危険はないが、強烈な横風にさらされる風の通り道。 |
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僕がWest Face Gullyを登り切ってしばらく進むと、スキーがデポしてあった。ryoさんの板だ。この先はガリガリの氷河をわたってMisery Hillへの標高差100mあまりの登り。その後ほぼ平坦な尾根を少し歩き、さらに少し登ったら頂上だ。だから滑って楽しい感じはない。でも、少しでも上からスキーがしたかったので、僕はもう少しスキーを担いでがんばることにした。風にスキーが叩かれてなかなか一歩が出ない。 |
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実際はここが氷河と言われてもよくわからない。足元の氷が動いているのかどうか見えるわけではないし、一面真っ白だから境界もよく分からない。でも足元のうろこの様な氷のヒダヒダが、いつも歩いている雪山とは違うということを物語る。僕がMisery Hillの登りにヒイコラしてたころ・・・ |
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ryoさんとTMD先生は頂上に到着。お互いに写真を撮り合う。
僕がMisery Hillを登り切り、スキーをデポしている時に下って来た2人と合流。 「どうする? tuttyは頂上に行く?」 興奮気味にTMD先生が尋ねる。表情は僕を心配するというよりも、頂上に登った後の満足したニヤケ顔。 「ヘタしたら日が暮れることもあり得るけど、とにかく山頂行ってきます。」 本当の気持ちは、 『・・・頂上目の前であきらめるなんてありえへん! 今までさんざん調べて準備してきたのに!!』 だが、つばぜり合いをしている場合じゃない。時間も体力も頂上に向けないと。 |
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TMD先生はああは言ったが、実際先に進んでみると、もう登りはほとんどなく荷物も無いので楽勝だった。空気が薄いから息切れはするけど懸念していた頭痛もない。風に耐えながら山頂まであと少し。 |
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山頂に着いたときは誰もいなかったが、しばらくすると2人組と単独の登山者がやってきた。山頂に至るルートはいくつもある。
お互いに写真を撮り合う。登り切ったぞばんざ〜い。 |
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さあ急いで帰路につく。頂上に着いた時点で15時すぎ。日没まであと4時間は明るいので、暗くなる前にテントに戻れるだろうが、夕方になると雪が固くなる。Misery Hillのデポ地点に直行。 |
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スキー板の刺さっていた穴が青白く光っている。やっぱりここの雪は純度が極めて高いんだとあらためて気づかされた。 |
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Misery Hillの下りで気持ちよく滑れたのは最初の2ターンだけ。その後の氷河の通過は、向かい風と例のヒダヒダ氷や小石みたいな氷だらけでろくに滑れないが、意地になってスキーを履いたまま通過。West Face Gullyのトップに戻ってきた。 ここでお別れのShasta山頂を背景に日本製スキーと一緒に記念撮影。この時、突風で板を谷に流しそうになりひやっとする。 |
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快適な滑りをちょっとだけ期待したが、そううまくはいかなかった。エッジは効くが、でこぼこの固い斜面でロデオのように暴れる板を抑えるのが大変。踏ん張り続けることができないのでで少し滑っては立ち止まる。自在に滑れたのはキャンプ地のすこし上だけ。僕の滑りを眺めながら帰りを待っていた2人に、「疲れたー!!」と絶叫しながら到着。それでも30分足らずで4035mのWest Face Gullyのトップから2847mのHidden Valleyに滑ってこれたから、やっぱりスキーは速い。 |
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当初の計画では今日下山する予定だったが、僕がもたもたしていたので今夜もHidden Valleyで過ごすことになった。幸い天気は明日の午前までは晴れの予報。夕暮れ時になっても雲は一片もない。今日は頂上に立てて良かった。無事に戻れて良かった。みんな言葉は少ないが、満足しきった様子で静かに夜は更けていく。 |
(更新年月日;2015.3.29) |